耳鼻咽喉科 日帰り手術.com

077-510-5454

2015年術後一斉調査

平成17年8月27日~平成27年3月31日(9年7か月)

当院は本年で開業10年を迎える事が出来ました。開院以来力をいれて取り組んで来た分野が鼻の日帰り手術であります。
日帰り手術とはいえ、行っている内容は総合病院の耳鼻咽喉科では今なお1週間程度の入院を必要とする本格的な内容です。
そのなかでも当院で最も多く行われているのがアレルギー性鼻炎および慢性鼻炎に対して行っている手術です。
慢性的なアレルギー性鼻炎患者さんの多くは、過去複数の医療施設で治療を試みたが、根本的解決に至らず、抗アレルギー薬や、点鼻薬で何とかしのいでおられるというのが実情で、中には「あんたの鼻は治らない」とさじを投げられて謂はば泣き寝入りしておられる方も少なくありません。
当院で手術を受けられる患者さんはそういった方が殆どで、最後の頼みの綱として相談をしに来られた方たちです。
このたび開業10年を期に、当院でアレルギー性鼻炎・慢性鼻炎の改善手術を受けられた全ての患者さんを対象に大規模なアンケート調査を行いました。 その結果、予想を上回る良好な成績が得られましたのでご報告いたします。

  総数(平成17年9月~平成27年12月) 平成27年1年間の実績
アレルギー性鼻炎
慢性鼻炎の手術
453例 53例
鼻中隔矯正術 381例 50例
副鼻腔炎(ちくのう症)の手術 178例 22例

平成17年8月から平成27年3月までの9年7ヶ月間に、当院で慢性鼻炎及びアレルギー性鼻炎に対する手術を受けられた方は415例です。
当院で行ってきた全日帰り手術は600例近くになりますが、その半数以上が慢性鼻炎に対する手術です。
正式な術名は経鼻的翼突管神経切除術および粘膜下下鼻甲介骨切除術と言い、この2つの術式を併せて行います。
また、鼻の形態が著しく悪い方には鼻中隔矯正術も併せて行います。
この手術は学会でも正式に認められたものであり、保険適応の手術です。

このたびのアンケート調査の対象患者さんは、平成17年8月から平成26年10月までの9年間に、当院で慢性鼻炎に対する手術を受けられた方、387例です。
このうち追跡可能であった348名に郵送方式でアンケートを行い有効な回答がえられたものが256例、有効回答率は73,6%でありました
アンケートは記名方式で行われました。
最年少は14歳、最年長は76歳で平均42歳。
術後経過日数は最長で9年6ヶ月、最短で6ヶ月でした。

術後5年以上経過群 82症例
術後5年未満経過群 174症例
合計256例

今回の調査の主要な目的は、長期間経過しても手術の効果が持続するのかどうかと云うところにあります。
時間の経過とともに効果が落ちてゆく事を経年劣化と申しますが、それがどの程度起こるのか、また、経年劣化が起こらないのかと云うところを見ることが最大の目的です。
そこで、全症例を、術後5年以上経過した群と、5年以下の群にわけて術後の効果を比較検討しました。
術後5年以上経過群は82症例、術後5年以下経過群は174例です。
以下、各項目について検討してゆきます。

  • 4点 非常に重い
  • 3点 重い
  • 2点 やや重い
  • 1点 軽い
  • 0点 症状なし
鼻閉(5年以上経過群)
鼻閉(5年以下経過群)
鼻閉(全症例)
3点以上の割合
鼻閉(5年以上経過群)
術前
術後
87.8%
2.4%
鼻閉(5年以下経過群)
術前
術後
86.2%
2.9%
鼻閉(全症例)
術前
術後
86.7%
2.7%
  • 4点 非常に重い
  • 3点 重い
  • 2点 やや重い
  • 1点 軽い
  • 0点 症状なし
くしゃみ(5年以上経過群)
くしゃみ(5年以下経過群)
くしゃみ(全症例)
3点以上の割合
くしゃみ(5年以上経過群)
術前
術後
26.8%
0%
くしゃみ(5年以下経過群)
術前
術後
26.4%
1.1%
くしゃみ(全症例)
術前
術後
26.6%
0.8%
  • 4点 非常に重い
  • 3点 重い
  • 2点 やや重い
  • 1点 軽い
  • 0点 症状なし
鼻漏(5年以上経過群)
鼻漏(5年以下経過群)
鼻漏(全症例)
3点以上の割合
鼻漏(5年以上経過群)
術前
術後
57.3%
4.9%
鼻漏(5年以下経過群)
術前
術後
57.5%
3.4%
鼻漏(全症例)
術前
術後
57.4%
3.9%
  • 4点 非常に重い
  • 3点 重い
  • 2点 やや重い
  • 1点 軽い
  • 0点 症状なし
鼻掻痒感(5年以上経過群)
鼻掻痒感(5年以下経過群)
鼻掻痒感(全症例)
3点以上の割合
鼻掻痒感(5年以上経過群)
術前
術後
15.9%
0%
鼻掻痒感(5年以下経過群)
術前
術後
21.8%
1.7%
鼻掻痒感(全症例)
術前
術後
19.9%
1.2%
  • 4点 非常に重い
  • 3点 重い
  • 2点 やや重い
  • 1点 軽い
  • 0点 症状なし
総合評価(5年以上経過群)
総合評価(5年以下経過群)
総合評価(全症例)
3点以上の割合
総合評価(5年以上経過群)
術前
術後
78%
1.2%
総合評価(5年以下経過群)
術前
術後
75.9%
3.4%
総合評価(全症例)
術前
術後
76.6%
2.7%

鼻閉(はなずまり)、くしゃみ、鼻水、鼻のかゆみについて個々に検討を行いました。
どの項目に於いても良好な改善が認められ、長期経過群に於いても明らかな経年劣化は認められませんでした。
特に、経年劣化を起こしやすいといわれている鼻漏(はなみず)に関しても、他の項目と遜色のない結果となりました。

手術後の鼻の状態はどのようになりましたか?
5年以上群 5年以下群 総数256
奏効率(改善以上) 95.10% 96.00% 95.70%
完治率 24.40% 25.30% 25.00%
手術後の鼻の状態はどのようになりましたか?
5年以上群 5年以下群
完治
20 44
著明改善
33 82
改善
25 41
不変
4 7
悪化
0 0

症状改善に関する総合評価でも95%を超える奏効率(手術を受ける前より良くなったと思った人の割合)が認められ、長期経過群においても奏効率が下がるような傾向はみられませんでした。

手術を受けて良かったと思いますか?
5年以上群 5年以下群 総数256
肯定的評価率 93.90% 94.30% 94.10%
手術を受けて良かったと思いますか?
5年以上群 5年以下群
非常満足
38 89
満足
31 50
やや満足
8 25
どちらともいえない
34 9
不満
1 1

また、手術を受けた事に関して「よかった」と思った患者さんの割合も94%と非常に高い結果が得られました。
しかしながら6%の方は手術を受けて「良かった」と思われなかったと云うわけですが、その理由として、手術を受けるというストレス、金銭的な負担に見合った結果が得られなかったと云う事でありました。
少数ながら満足のいく結果が出せなかった患者さんがおられるという事に関しては真摯に受け止めて、より満足の行く結果が得られるように改善を図ってゆきたいと考えております。

今回の調査の対象患者さんのうち6割の方に花粉症の合併が見られました。
そこで、花粉症に対する効果についても別途、検討を行いました。

  • 4点 非常に重い
  • 3点 重い
  • 2点 やや重い
  • 1点 軽い
  • 0点 症状なし
花粉症鼻閉(5年以上経過群)
花粉症鼻閉(5年以下経過群)
花粉症鼻閉(全症例)
3点以上の割合
花粉症鼻閉(5年以上経過群)
術前
術後
76.5%
3.9%
花粉症鼻閉(5年以下経過群)
術前
術後
80%
9.5%
花粉症鼻閉(全症例)
術前
術後
78.8%
7.7%
  • 4点 非常に重い
  • 3点 重い
  • 2点 やや重い
  • 1点 軽い
  • 0点 症状なし
花粉症くしゃみ(5年以上経過群)
花粉症くしゃみ(5年以下経過群)
花粉症くしゃみ(全症例)
3点以上の割合
花粉症くしゃみ(5年以上経過群)
術前
術後
43.1%
0%
花粉症くしゃみ(5年以下経過群)
術前
術後
60%
7.6%
花粉症くしゃみ(全症例)
術前
術後
54.5%
5.1%
  • 4点 非常に重い
  • 3点 重い
  • 2点 やや重い
  • 1点 軽い
  • 0点 症状なし
花粉症鼻漏(5年以上経過群)
花粉症鼻漏(5年以下経過群)
花粉症鼻漏(全症例)
3点以上の割合
花粉症鼻漏(5年以上経過群)
術前
術後
64.7%
7.8%
花粉症鼻漏(5年以下経過群)
術前
術後
69.5%
6.7%
花粉症鼻漏(全症例)
術前
術後
67.9%
7.1%
  • 4点 非常に重い
  • 3点 重い
  • 2点 やや重い
  • 1点 軽い
  • 0点 症状なし
花粉症鼻掻痒感(5年以上経過群)
花粉症鼻掻痒感(5年以下経過群)
花粉症鼻掻痒感(全症例)
3点以上の割合
花粉症鼻掻痒感(5年以上経過群)
術前
術後
29.4%
0%
花粉症鼻掻痒感(5年以下経過群)
術前
術後
42.9%
4.8%
花粉症鼻掻痒感(全症例)
術前
術後
38.5%
3.2%
  • 4点 非常に重い
  • 3点 重い
  • 2点 やや重い
  • 1点 軽い
  • 0点 症状なし
花粉症眼の掻痒感(5年以上経過群)
花粉症眼の掻痒感(5年以下経過群)
花粉症眼の掻痒感(全症例)
3点以上の割合
花粉症眼の掻痒感(5年以上経過群)
術前
術後
31.4%
11.8%
花粉症眼の掻痒感(5年以下経過群)
術前
術後
50.5%
18.1%
花粉症眼の掻痒感(全症例)
術前
術後
44.2%
16%
  • 4点 非常に重い
  • 3点 重い
  • 2点 やや重い
  • 1点 軽い
  • 0点 症状なし
花粉症流涙(5年以上経過群)
花粉症流涙(5年以下経過群)
花粉症流涙(全症例)
3点以上の割合
花粉症流涙(5年以上経過群)
術前
術後
13.7%
0%
花粉症流涙(5年以下経過群)
術前
術後
22.9%
1.9%
花粉症流涙(全症例)
術前
術後
19.9%
1.3%
花粉症よくなった?
5年以上群 5年以下群 総数156
奏効率(改善以上) 86.30% 91.40% 89.70%
完治率 5.90% 3.80% 4.50%
花粉症に対する効果
5年以上群 5年以下群
完治
3 4
著明改善
24 50
改善
17 42
不変
7 9
悪化
0 0

花粉症時期の鼻閉、くしゃみ、はなみず、かゆみについて個々に検討を行いましたが、いずれの症状に関しても高い効果が見られましたが、前述の全体の評価に比べると症状改善の割合が少し低くなりました。花粉時に於ける総合評価は奏効率約90%でありました。
驚くべき事に、4.5%の患者さんは花粉症が全くなくなったという回答がえられました。
この結果から、この手術により花粉症が軽くなったと実感された患者さんは約9割で、花粉症に対する効果も充分あると考えられました。 また、花粉症特有の眼の症状に関しても統計学的有意差が認められ、眼の症状についてもある程度の効果が認められる結果となりました。